活性酸素と酸素の違いは?細胞を老化させる活性酸素の除去に、水素という発想

Active oxygen

みんな吸ってる活性酸素

みなさん活性酸素という言葉はどこかで聞いたことがあるかと思います。

活性酸素は有害で、細胞を老化させるんだ、と。

Active oxygen

酸素ってみんな吸っていますよね。生きていく上で欠かせない成分です。

では有害有害と言われる活性酸素は酸素とは別物なのでしょうか。呼吸をするときには気にしなくていいものなのでしょうか。

考えてみると意外と知らないこの物質。

今回はこの活性酸素がどのようにしてやってくるのか、なぜ危険なのか、そもそもなんなの?を、活性酸素の除去法とともに紹介してみたいと思います。

目次

  1. 活性酸素はなぜ危険なのか
    1-1. 細胞の変質
    1-2. 活性酸素は主に4種類
  2. どうやって活性酸素は除去されていくのか
    2-1. DNAの修復
  3. 抗酸化物質
    3-1. ビタミンC(アスコルビン酸)
    3-2. ビタミンE(αトコフェロール)
    3-3. 水素(H₂)
  4. まとめ

活性酸素はなぜ危険なのか

活性酸素は他の反応を起こしやすい酸素のことを言います。けっこう広義にとれますね。

体内に取り込む酸素の2%がこの活性酸素に変貌をとげます。ちなみに喫煙者はその比ではありません。健常者でも1日に10億個の活性酸素が発生すると言われますが、喫煙者の場合はそれが1兆個にもなります。

細胞の変質

これがなぜ危険かと言えば、反応しやすいというのは、他の物質を酸化させやすいという意味だからです。簡単にいうと相手方の物質を錆びさせてしまうのです。

これが体内にあると細胞や血管などを変質させ、さらにはDNAを破壊してしまう恐ろしいもの。そして変質してしまった物質は本来体のなかで果たすべきだった役割をはたせず、それ自体が意味のない物質、悪ければ有害な物質へと変化を遂げてしまいます。

動脈硬化につながる

コレステロールを例に挙げてみましょう。

本来コレステロールは細胞膜の構築、維持したり、脂溶性ビタミンの代謝を助けたりする美容に欠かせない物質です。厚労省でも2015年月にコレステロールの基準についてはすでに撤廃しています。

ではなぜコレステロールが悪者扱いをされていたのか、悪玉コレステロールというやつですね。それが実は今回のテーマ、活性酸素の仕業なのです。

コレステロールはタンパク質にくっついて体内を運ばれますが、そのときタンパク質にくっつくコレステロールの比率の高いものが悪玉コレステロールと呼ばれていました。

一方の善玉コレステロールは比率の低いもので、余ったコレステロールを肝臓に運び分解させるため善玉と呼ばれます。

悪玉コレステロールは本来「栄養素」です。決して害をなすものではありません。しかし活性酸素に酸化され変質すると、本来の役割をはたせなくなってしまいます。

変質した悪玉コレステロールは体の内の傷ついた毛間の傷口から壁の内部に入り込み、そこで異物として認識されます。

するとそれを追って白血球が入り込み変質した悪玉コレステロールを撃退、しかしその名残、死骸が壁内に沈着し、動脈硬化の原因となります。

そのため、悪玉コレステロールを減らそう、と叫ばれてきたわけですが、正しくは「活性酸素によって酸化された悪玉コレステロールを減らそう!」本来の黒幕はコレステロールではなくこの活性酸素、根っから退治しなくてはならないのはこいつだったのです。

活性酸素は主に4種類

活性酸素には主に

  • O₂- :酸素イオン(スーパーオキシサイド)
  • H₂O₂ :過酸化水素
  • •OH :ヒドロキシルラジカル
  • ¹O₂ :一重項酸素

の4種類があります。2番目の過酸化水素(H₂O₂)はみなさん耳にしたことがあるのではないでしょうか。過酸化水素水(オキシドール)は消毒液に良く用いられる物質ですね。

この4つの活性酸素は全くの別物というわけではなく、変化していく過程で経由する物質たちです。

O₂- :酸素イオン(スーパーオキサイドラジカル) の発生

まず最初に発生するのはO₂-です。酸素は通常O₂ですがこれにマイナスがくっついた電荷を帯びている状態ですね。詳しいお話は割愛しますが(電子について知りたい方はこちらで簡単に説明しています)、このO₂-は細胞内でミトコンドリアがエネルギーが生成されるときに大量発生します。

呼吸している限りはこのスーパーオキサイドラジカルの発生は避けることはできず、吸引した酸素の約2%がこのO₂-に変化すると言われています。

H₂O₂ :過酸化水素 の発生

次に発生するのは過酸化水素水H₂O₂です。これは有害なO₂-を除去する過程で、酵素を触媒として生成されます。

H₂O₂って何かと似ていませんか?H₂O、水ですね。これとすごく似ています。

水は安定していますが、H₂O₂はO(酸素)が1つ多く、その分不安定な物質です、この1つ多いOがほかの物質と反応し酸化させたりしてします。

消毒液として使用されるのは、細菌にかけるとこのOが細菌たちのもっているOを奪い取り死滅させ、自身はO₂になって安定する、という仕組みです。

というわけで過酸化水素を主とする消毒液は活性酸素をまいているわけなので、感染症のリスクがあるなどそういったケースを除けばできれば使用しない方が賢明と言えそうですね…

•OH :ヒドロキシルラジカル の発生

このOHの前にある「・」もふくめて「・OH」ヒドロキシラジカルです。こいつが最も酸化能力の強い危険な活性酸素です。強力であらゆる物質を酸化します。

そのため活性酸素による生体損傷のほとんどはこのヒドロキシによるものだと考えられています。

化学式を見ると過酸化水素水H₂O₂を2つに割ったような物質ですね。

先ほど出てきた過酸化水素は反応性は高くありませんが、体内に含まれる微量な鉄や銅などの金属イオン、光と反応することで「・OH」を作り出してしまいます。

過酸化水素と紫外線でも?

¹O₂ :一重項酸素 の発生

紫外線や放射のを浴びると発生します。

この「•OH」と「¹O₂」が特に危険な物質です。前者2つと何が違うかと言えば、たとえば過酸化水素H₂O₂はまわりの酸素を奪いに行きますが、「•OH」と「¹O₂」は周りの電子を奪い取ります。

酸化ってどういうことかというと、電子を奪われた状態を「酸化している」といいます。「•OH」と「¹O₂」はそのため酸化能力が非常に高く、この電子を奪う物質は「フリーラジカル」と呼ばれます。

その他フリーラジカル

また、白血球が細菌を殺す過程で、一酸化窒素と活性酸素が生成されますが、この2つが反応すると強力なフリーラジカルが生成されることが知られています。

感染や炎症は体の酸化を亢進させる原因となるわけです。

どうやって活性酸素は除去されていくのか

毎度発生する活性酸素は体内の消化酵素によって浄化されます。これには2段階あり、一旦過酸化水素になり、その後さらに別の消化酵素によって除去されます。

しかしその過程で、まれに「•OH」が作り出されてしまいます。これが最も強力で、あらゆる物質を酸化します。

さて、これらの活性酸素は抗酸化物質により消去されてゆきますが、それでもやはり追いつかず、細胞を酸化してゆきます。

酸化された細胞はDNAが損傷され、その数は健康な生活をしていても1日に数万から数十万に上ります。

DNAの修復

これらの損傷されたDNAは容易に修復されます。

健康な人においてもこの過程は起こるるのですが、それはなぜでしょう。

DNAは修復される際に時折変異を起こします。そして少しずつ人類は変わっていきます。進化においてDNAの破壊と再構築は大変重要な工程、活性酸素はその一端を担っていると言い換えることもできます。

一方で、ヒトの細胞の再生の回数は決まっているという説もあり、進化の代償として寿命を消費していると言うこともできそうです。

なんだか壮大な話ですが、たとえば喫煙によっても細胞の酸化、DNAを損傷は進むわけで、進化の可能性と寿命の両方が何の意味も生み出さず削られていっていると考えると、禁煙するモチベーションとしてはなかなか有意義なものであると感じます…。

また、DNAの変異はがん細胞も生み出します。これも大きなリスクの一つですね。

なんにしても活性酸素は効率的に消去し、健康に老いていきたいものです。

抗酸化物質

さて、活性酸素に対しては消去能力(抗酸化機能)が働きます。

この抗酸化物質について見ていきましょう。

有名なものにはビタミンC、ビタミンE、ベータ・カロチン、ビタミンA、グルタチオンなどがあります。

ビタミンC(アスコルビン酸)

ビタミンというのはけっこう広義で、有機的な栄養素のうち、炭水化物、脂質、タンパク質以外のものを指します。ビタミンCとはよく効かれますが学名はアスコルビン酸と言います。

ビタミンCは水溶性の抗酸化物質で抗酸化の目的で食品添加物にも使用されます。ただし当然食品の酸化を防ぐためのみですから、添加物をとればビタミンCが取れるのかというわけはありません。

喫煙の影響

喫煙はこの活性酸素を1兆個作り出します。今すぐ辞めましょう…

タバコはビタミンCを壊すというお話はこの活性酸素の理屈からきています。

タバコで発生する活性酸素がビタミンCを壊すというよりは、ビタミンCがタバコの活性酸素を抗酸化しているという方が正しいですね。

ビタミンE(αトコフェロール)

ビタミンCが水溶性であるのに対し、ビタミンE脂溶性であり、生体膜に分布し酸化を防ぎます。

フェノール水酸基という構造をもっているため酸化を防ぎます。このフェノール水酸基は

つまりはポリフェノールというやつです。フェノール水酸基をたくさん(ポリはたくさんの意味)もっているため、ポリフェノール。これが抗酸化の役割をはたします。

緑茶のカテキン、赤ワインのレスベラトロール、ゴマのセサモールにも多く含まれるため、意識して摂ると良いでしょう。

水素(H₂)

抗酸化で注目されているのが水素です。(ただしあまり一般的ではありません)

水素は水溶性でもあり脂溶性でもあるためあらゆる部位で抗酸化に役立ちます。

そしてH₂の最も優れている点は、活性酸素のうち生体にダメージを与える主犯である「・OH」を消去できるということです。

一時期水素水が流行ったのはこの理由からですね。

ただ、溶解度の水素をわざわざ水に溶かして体内で吸収するのは理にかなっておらず、水1gにつき1.6マイクログラムしか吸収されません。マイクロなのでミリではありません。つまり水500g中に0.8mgです。

また、水素水を飲んだとして、それが胃を通過し、どれだけが体内に吸収されるのか…おそらくスズメの涙を1000倍に薄めたくらいのものでしょう。

水素をラジカル排除の目的で吸うのであればガス吸引。そのためあまり一般的ではなく抗酸化目的での水素の引用はしばしば敬遠されます。

まとめ

今回、抗酸化物質についていくつか取り上げましたが、共通して言えることがあります。それは「自然食品に多く含まれる」ということです。

カップラーメンや、加工食品ばかり食べている人に抗酸化は期待できません。

コンビニ弁当や保存食品も同義です。自炊する最大の意味というのはおそらくまさにここにあります。

酸化しないフレッシュな体でいるためにはやはり新鮮なものを、10年後のために、今から食生活に気を使ってみましょう。

 

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