自律神経の乱れを整える・安定させるのは、呼吸のしかたがカギ?

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ヒトのこころと自律神経

ヒトには心があり、そのこころが故に喜んだり、悲しんだり、だれかと喧嘩したり、誰かを好きになったりします。

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一方で現代では何かにトラウマを抱えたり、それによって心に病を負ってしまうこともしばしば起こります。社会の中の問題として、心は大きく取り上げられ、等価値に実際重要なことでもあります。

何かの大きな感情は、日ごろの小さな心の動きの積み重ねです。

心を安定させるために、スポーツをしたり、音楽を聴いたり、良い睡眠について考えたり、また人と話してみたり。

心のために外からアプローチするのと同様に、心から皆さんの体へ発信されているサインは数えきれないほどあります。

この心からのサインを体に反映しているのが自律神経、今回はこの自律神経がテーマです。

 

目次

  1. 体においての自律神経の位置づけ
  2. 交感神経(興奮)と副交感神経(リラックス)
    2-1. 自律神経の変化に伴う生体機能の高下
  3. 興奮しているときの自律神経
    3-1. 仕事 喧嘩 恋愛
  4. リラックスしているときの自律神経
    4-1. 入浴 睡眠
    4-2. 食事
    4-3. トイレ
  5. 呼吸と自律神経
  6. まとめ

自律神経はあらゆる生理的機能を制御する神経であるため、あがり症や落ち込みやすいなどの精神的特性だけでなく、呼吸、睡眠などの日常生理的なもの、はたまた肩こりや腰痛といった身体的なものにも影響を与えると、昨今のメディアでもよく取りざたされる分野です。

それはこの自律神経は心の状態をよく反映するからであり、現代のストレス社会において特に注目されるようになったからです。

神経という言葉は神という字が入りますが、これは魂や心の意味で使用されています。心が流れる経路、それが神経。中でも自律神経はまさにその字を体現したものであると言えるでしょう。

今回はどんな状況で自律神経はどのように作用し、体にどのような影響を与えているのかを調べてみます。

体においての自律神経の位置づけ

体の神経系はまず大きく中枢神経と末梢神経とにわかれます。

中枢神経は脳と脊髄、そしてそれに直結する神経です。
もう一方の末梢神経はそれ以外の神経を指しますが、体性神経系と自律神経系に二分されます。

体性神経とは動作や感覚を伝える信号で、たとえば叩かれると痛いと感じる、とか、右足を動けと脳が命令すると右足が動く、といったように、コレをすればコレ、と挙動が決まっている反射的神経です。

事故で体の一部が一時的にマヒした、とか、化学薬品を嗅いだらしばらく匂いがわからなくなった、というのは体性神経が異常をきたしている状態です。

一方の自律神経は、心臓の脈動や呼吸、発汗、消化器官など、生体的な挙動に働きかける神経です。脳によって判断され、自分の置かれている状況や思考、感情によってその時体に必要な生体作用を発現させます。

暑いのにあまり汗が出ない、とか、すぐに緊張して動悸が激しくなる、というようなことは自律神経の異常が考えられます。

Nervous system

交感神経(興奮)と副交感神経(リラックス)

この自律神経は感情や生理機能によって各器官に指示を飛ばします。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つに大別され、興奮時には交感神経が、鎮静時には副交感神経が優位に働きます。

では興奮時、鎮静時の時、それぞれ、体においてはどのような反応が現れるかを見てみます。

自律神経の変化に伴う生体機能の高下

  交感神経優位 副交感神経優位
状態 興奮 鎮静
心拍 加速 減速
血圧 上昇 下降
血流 大筋群に集中 内臓や末梢に集中
呼吸 早くなる ゆっくりになる
気管支 拡張 収縮
発汗 抑制
胃腸の働き 抑制 促進
消化液 抑制 促進
唾液 減少(ネバネバの唾液) 増加(サラサラの唾液)
膵臓 インスリン抑制 インスリン分泌

興奮しているときの自律神経

日常にはさまざまなシーンが存在し、ゆったりリラックスしているときもあればバリバリ活動しているときもありますね。そんな時神経は、交感優位になったり、副交感優位になったりを行ったり来たりしています。

日常にある一般的な生活の中で、リラックスしているときはどんな時か、はたまた戦闘態勢に入っているのはどんな時か、2つに分けて見てみます。

まずは興奮時、交感神経優位の時です。

仕事 喧嘩 恋愛

緊張したりプレッシャーを感じたり、興奮しているときには交感神経が優位になっています。

交感神経は闘争と逃走の神経とも言われ、外的環境から生命の危機が迫る時には途端に交感神経にスイッチが切り替わります。

リラックスしているときの自律神経

次は心が落ち着き、体が自身のメンテナンスを行う副交感神経優位となっているときです。

入浴 睡眠

リラックスしているときには基本的に副交感神経優位です。この時には戦闘モードは解除されゆったり休憩モード。精力を回復し、体の機能、状態を整えます。

しかし入浴には注意が必要で、シャワーのみだと交感神経優位のままになってしまうことがあります。また、暑すぎるお湯も体を刺激し、交感神経優位になってしまう原因となります。熱いシャワーを浴びて目を覚ます、というやつですね。

副交感神経を優位にしリラックスするためには、適温でゆっくり湯船につかることが大切です。

食事

では食事をしているときはどうでしょう。生きるための活動ではありますが、一見リラックスしているようにも見えます。

食事~消化をしている間は副交感神経優位になります。交感神経は闘争と逃走の神経ですから食事は当てはまりませんね。もし身の危険を感じるような事態に遭遇したら消化などをしている場合ではなく、筋肉や運動神経に意識を持って行かれるようになっています。

そのため、ストレスを感じながらの食事は大変大きな害になります。つまりはヤケ食いというやつですね。

イライラしている状態では交感神経が優位となっており、唾液も出なければ胃腸の活動も弱い。そんな状態で食べ物を食べるとどうなるか。まともに栄養は吸収されず、内臓に負担ばかりをかけるのみとなります。

また、体へ栄養の吸収を促すインスリンというとても大切なホルモンがありますが、興奮下ではこの分泌も抑制されます。

トイレ

トイレに行きたくなる時は本来副交感神経が優位にある時です。

しかし、スポーツの試合前に緊張してトイレに行きたくなったりすることがありますね。この時は交感神経が優位にあるはずですがなぜでしょう。

それはストレスを感じると神経は過敏に反応し、少しの量でも尿意を催してしまうからです。そのためそんな時トイレに行っても実際は全然出なかったりしますね。

本来はリラックス、副交感神経優位の時に起こる生理現象なのです。

呼吸と自律神経

リラックスしている状態、つまり副交感神経が優位になると呼吸はゆっくりと落ち着いてきます。

呼吸は自律神経とのかかわりにおいて、他者と比べすこし特殊な位置にあります。

上の自律神経の表を見ていただくとわかりますが、ヒトは自身で血圧を上げたり、脈拍を早くしたり、胃腸の機能を高めたりすることはできません。

一方、呼吸は意識すれば早めることも遅めることもできる、つまり、自身でコントロールできるのです。

そのため、これを逆手にとって、呼吸を意識して鎮めることにより自律神経、もとい精神を落ち着かせる手法は、武道、スポーツ、東洋医学などでも取り入れられます。

精神的に弱さを持っている人や、生理機能が乱れやすい人はぜひ呼吸に一度着目してみてください。

まとめ

ヒトには心があり、それによって喜んだり、悲しんだり、だれかと喧嘩したり、誰かを好きになったり。素晴らしい体験をします。

そしてそれらは記憶に残り、それぞれの成長の糧として人間を支えてゆきます。

心は局所的なけがや病気とは違う角度から、しかしそれと同じくらい重要に、体へ大きく影響を与える要素です。

 

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  1. 2018年 4月 14日

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