高血圧はなぜ危険?原因を知って、病気の元となる理由について考えよう!

血圧計

高血圧とは

まず言いたいのは、健康に気を使うのであればぜひ高血圧について勉強してほしいということです。高血圧は生活習慣病の中でも疾患者数4300万人と最も多いものです。

血圧計

なぁんだみんななってるならしょうがないと思わないでください。
高血圧はサイレントキラーと呼ばれ、症状なく進行し、突然重い病気となって目の前に現れます。

なぜそれほど重要か簡単にお話しすると、まず、高血圧は血管内の血液の圧力が高い状態です。それは血管にとってとても大きな負担となります。人は血管とともに老いると言われており、人の寿命と大きく関わります。

それもそうです、体の各所に栄養を運ぶのも血管、免疫を運びウィルスと戦うのも血管、不要となった老廃物を排出するのも血管ですから、血管に負荷をかけることはそのまま体にダメージを与えることに他なりません。

血管の機能が低下すれば器官の多くに悪影響を与え、それらは連鎖的に体の不調の輪を広げていきます。高血圧はその輪が回りだす初めのスイッチとなる症状なのです。

高血圧の仕組みとリスクについて知れば自然と、血管と自分がどうあるべきかが見えてきます。高血圧?みんななっているから平気だよではなく、高血圧?まずい、薬を飲もう、でもなく。体を流れる血液との正しい向き合い方、コントロールの仕方を考えます。

目次

  1. 高血圧とは
    1-1. 血圧の単位 mmHg
    1-2. 最高血圧と最低血圧
    1-3. 高血圧によって併発する可能性のある症状
  2. 高血圧に対し有効とされている処方
    2-1. 高血圧は原因不明?
    2-2. 高血圧は発生しやすいタイミングがある?
  3. 生活の中で高血圧の改善を考える
    3-1. 食生活
       …食塩の取りすぎはナトリウムの濃度を高める
       …カリウムを多く含む食材
       …摂取の前にカット ~食事で気を付けたいこと~
    3-2. 適正体重の維持、運動療法 ~肥満との関係~
       …肥満のメカニズム
       …肥満と高血圧
  4. まとめ

高血圧とは

血圧の異常です。
血管は外からの圧力に対し血管を広げ圧力を保とうとしますが、なんらかの異常で血管が広げるのをやめてしまうと、血管内の容積は減少しますが、血液の量は変わらないため圧力が高まります。

血圧の単位 mmHg

Hgは水銀を意味し、mmHgは水銀柱の高さを表します。
人の血圧は最高血圧が120mmHg未満、最低血圧が80mmHg未満で至適と言われますが、120mmHgは血管と同じ断面積の水銀柱を120mm(12cm)も押し上げる力があるということです。

なぜ水銀が使われるかと言えば、これを水に置き換えた場合、1900mm(1.9m)も押し上げる力があるため、計測の利便性から水銀の重さで計られます。血圧ってすごい力があるのですね。普段からそれだけの負担が、血管にはかかっているということです。

最高血圧と最低血圧

血圧は常に変動しています。というのも心臓が絶えずポンプの役割としてどっくんどっくんと脈打っていますから、そのタイミングによって血圧が異なります。

心臓がぎゅっと縮んで血を全身に送り出すとき、体の血管に最も圧力がかかり、最高血圧として測定されます。最低血圧はその逆で心臓がふくらみ血を吸いこむときに測定されるものですね。
基準は、くり返しの測定で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上で高血圧と診断されされます。

高血圧によって併発する可能性のある症状

高血圧は血管内の血液の圧力が高まることで血管に負荷をかけますから、動脈硬化に拍車をかけ、脳卒中や心肺機能の異常へとつながります。また、循環器系のあらゆる病気のタネとなります。

高血圧に対し有効とされている処方

日本高血圧学会
・食塩制限 →ナトリウムとカリウム
・野菜、くだもの →カリウム
・適正体重
・運動療法
・アルコール制限
・禁煙
の6点です。詳しくは後述しますね。

高血圧は原因不明?

高血圧について調べると「原因不明」であるようなことが書かれていますが高血圧は不治の病なのでしょうか。高血圧はいわゆる生活習慣病である本態性高血圧と、特定の病気や症状から高血圧を伴う2次性高血圧の2つに大別されます。

そして、疾患患者全体の90%が本態性高血圧なのですが、この本態性高血圧は「原因のわからない高血圧」として述べられていることが非常に多いのです。

であれば治しようがないと勘違いされる方も多いのですが、間違えないでください。これは便宜的なもので、血圧が高いことは分かっているがそれが遺伝的なものか塩分の取りすぎか、それともストレスかそれらの複合か「特定」ができないということです。

日本国血圧学会によれば大きな要因となる要素自体はすでに述べられており、改善できない症状などではありません。

高血圧は発生しやすいタイミングがある?

血圧は常に変動しており、食事をしたり、トイレへ行ったり、顔を洗うだけでも下記を目安に上昇します。

血圧の上がるタイミングとその目安
  • 起床時   20mmHg
  • 洗顔    20mmHg
  • 食事    20mmHg
  • トイレ   60mmHg
  • 階段を上る 50mmHg
  • 咳     80mmHg
  • くしゃみ  50mmHg
  • 喫煙    40mmHg
気温が低い

血圧は季節によっても変動し、気温が低い冬場には血圧が上昇すると言われています。

これは体温の低下を防ぐために血管が収縮するためですが、冬場は肥満になりやすかったり、飲酒が増えるといったことも関係しているようです。顕著に変化がみられる人で、最高血圧が50mmHg、最低血圧が10mmHgほどの差が見られます。

また、冬季と夏季を比べると、血圧の変動が大きく関わる心臓病の発生率も1.5倍近くの違いがあります。

生活の中で高血圧の改善を考える

食生活

食については日本高血圧学会のガイドラインよりすでに食塩制限と野菜、くだものの摂取が呼びかけられています。なぜこの2つが大切か、解説していきます。

これは浸透圧という圧力の話なのですが、基本的に濃度の高い液体と濃度の低い液体が水分のみを通す膜で隔てられている場合、濃度を均等にしようとする、つまり濃度の高い水の方へ水分が移動し薄めるという性質があります。

同じように体の中でも血管の内と外で圧力の調節が行われているのですが、それを司る栄養素があります。それはカリウムとナトリウムです。

少し簡略化しますが、ナトリウムの濃度は血液の浸透圧を支配し、カリウムの細胞内での濃度は血管の壁の浸透圧を支配しています。ナトリウムとカリウムのバランス保たれることによって血液と血管の壁の圧力は拮抗し、細胞は正常に機能することができます。

食塩の取りすぎはナトリウムの濃度を高める

食塩は正式名称を塩化ナトリウムといいNaClと表されます。食塩を取りすぎるとナトリウムの濃度が上がるため血液の濃度を高めます。

するとそれを薄めようと水分は血液側に吸い取られていきます。結果として血液の圧力を高めてしまうのです。これが、塩分の取りすぎが高血圧に大きく関係するとされる理由です。

どちらかが過剰になると…

体は生体機能を維持するために、圧力のバランスが崩れるとそれを自律神経が察知、一方が欠乏すれば、もう一方も排出、一方が過剰になればもう一方を補てんしようとします。

であれば問題はないのでは?しかし、排出機能の役割を果たす腎臓は、なんとナトリウムをできるだけ保持し、カリウムを排出しようとするのです。

なぜこんなことが起こるのか、これは歴史的要因が強く、過酷な環境で塩分を保持しておくために備わった機能であり、塩分感受性と呼ばれています。
黒人では80%、白人は20%の人に備わっており、黄色人種はその中間に位置するとされています。

そして幸か不幸か栄養不足の心配のなくなった現代ではナトリウム過多は避けられず、カリウムは現代人に不足している栄養素の第1位として数えられるまでになりました。

これを解消するために人は水分を欲し、体の水分量が増え(むくみ)高血圧となる、まさに生活の中に存在する病、生活習慣病として叫ばれるようになっているのです。

というわけで血管細胞の圧力を高めるためにカリウムを多く含むような野菜、果物の摂取が高血圧の予防には効果的だとされています。ちなみに細胞内液の濃度、浸透圧をコントロールする成分は、カリウム以外に、マグネシウム、カルシウムなどがあります。

カリウムを多く含む食材

りんごやバナナ、ホウレンソウ、アボガド、パセリ

また、食物繊維を一緒に取ることはナトリウムを排出する手助けになりカリウムの利用作用と相まってバランスを保つうえで大きく役立ちます。

カリウムは「自然の降圧剤」と呼ばれているほどで、過剰に摂取されても基本的には無害で排出されますが、腎機能が低下している人の場合、高カリウム血症、不整脈といった症状を招く危険もあります。

普段の食事から摂取する分には取りすぎの心配はほぼありませんが、すでに投薬治療中の方はカリウムを積極的に摂取すべきか、まず医師に相談してみましょう。

カリウムの摂取量目安は1日3.5グラムが望ましいとされていますのでリンゴ○○個分ですね。

摂取の前にカット ~食事で気を付けたいこと~

病気や症状が出るとまず何かを補わねば…!と考えがちですが、それよりもまずは引き算を考えましょう。不足しがちなカリウムを取ることも大切ですが、まずは何かと過剰に摂取してしまう塩分を控えることが第一の改善ポイントになります。

日本高血圧学会では塩分の摂取量目安は1日6グラムとしています。日本人の平均塩分摂取量が11~12グラムなので2分の1にするということですね。

数字で考えると長続きしなさそうなので何を心がければいいかを考えてみましょう。
※本当は塩分摂取量簡易測定器で月に1,2度図るのがおすすめですが、少し高いんですよね…。(安いもので2万2千円程度します。)

・香辛料を使おう

普段の料理には塩分を控える代わりに香辛料でアクセントを加えるように意識しましょう。塩分少なめで料理をおいしくすることができ、血行促進の効果もあるためまさに一石二鳥です。

・麺類のスープ、逸品付け合せのソースなどはできるだけ残そう

ラーメンやうどん、そばのスープはいっぱいで約4~6グラムの塩分を含んでいます。これで1日分の摂取量まで相当してしまいますのでスープはできるだけ残すようにしましょう。

・パンよりも穀類

食パン1枚で0.8グラムと、実はパンにも塩分が含まれています。どちらでもいいのであればご飯、穀類を食べるようにしましょう。ただし、高血糖の方はその量にも注意しましょう。肥満との関係については後述しますね。

・その他塩分を含むもの

・塩蔵品 塩サケ甘口 1食 …2.1
 塩蔵品 たらこ 1腹 …2.3
・ひもの あじ小 …1.0
・練り製品 はんぺん1枚 …1.5
・チーズ 三角チーズ1こ …0.8
・インスタント食品(カップラーメンなど)、過酷食品(ウィンナー、ベーコンなど)

他にも味噌や漬物も塩分を多く含みますが、漬物には乳酸菌やカルシウム、ビタミンが多く含まれていますし、味噌は大豆の発酵食品でいわずと知れた健康調味料です。

避けるべきは、一から加工されて作られているものや、保存のためだけに塩漬けにされているもの、と考えるとよさそうです。

適正体重の維持、運動療法 ~肥満との関係~

次に肥満、これも高血圧に大きく関わっています。肥満の厄介なところは、食欲が原動力となり実は体では、ある悪循環、サイクルが生まれているためです。

肥満のメカニズム
  1. 糖質の多いものを過剰に摂取することで血糖値が高まる
  2. 血糖値が基準値よりを超えると、体がそれに反応し血糖値を下げるインスリンというホルモンが大量に分泌される
  3. 血糖値が低下したことにより脳は糖質の摂取を求める

①糖質の多いものを過剰に摂取することで血糖値が高まる
糖質は正式名称をグルコースと言い、肝臓から血液へ入り全身へ行きわたります。グルコースを過剰に摂取すると血糖値が基準値よりも高まります。

②血糖値が基準値よりを超えると、体がそれに反応し血糖値を下げるインスリンというホルモンが大量に分泌される

インスリンは人の体で唯一血糖値を下げることのできる主要ホルモンで、筋肉に血中のグルコースをグリコーゲンに変えて備蓄するよう指示をだします。ちなみにグリコーゲンはグルコースの複合体で、筋肉の収縮のためのエネルギー源となります。これにより、血液中の血糖値は下がります。

③血糖値が低下したことにより脳は糖質の摂取を求める
糖質を過剰に摂取してインスリンが分泌されてしまうとあったはずのグルコースが血中から無くなってしまうため、グルコースを唯一の栄養源としている脳は糖質を含むものを求めます。そのため、たくさん糖質を摂取したはずなのに再び甘いものを食べたくなります。

①~③のサイクルが繰り返され、インスリンの分泌異常により糖はどんどん筋肉に備蓄されていきますが、当然すぐに限界を迎えます。そして上限を超えた分だけ、エネルギーは脂肪として蓄えられることとなります。

肥満と高血圧

こうして肥満のサイクルは回っているのですが、このサイクルの中でインスリンが多く分泌され、高インスリン血症(血液中にインスリンの濃度が高い状態)となります。

人間の体はナトリウムとカリウムで血液と細胞の圧力を調節していますが、歴史的な理由からナトリウム(血液側)を保持する傾向があり、ナトリウムが不足すると、尿細管で再吸収が行われ、排出量が減少します。

高インスリン血症ではこのナトリウム再吸収が促進されてしまい、血液の圧力を高め、高血圧の原因となります。

まとめると、過食によって糖質が必要以上に多く摂取され、インスリンが大量に分泌されてしまい、ナトリウムの再吸収が促進され血圧が高まります。また、過食のサイクルは当然塩分摂取量も増加させますから、高血圧になる危険度は相乗的に高くなるわけです。

ちなみに、この高インスリン状態で○○ダイエット、をしてもあまり意味がありません、むしろ逆効果になるケースさえあります。まずは過食「普通の食事」にしてインスリンの分泌を正常に戻す必要があります。腹八分目は医者いらずとはまさにこのことです。

まとめ

  • 高血圧は生活習慣病の中でも最も疾患数が多く、循環器系の病気の一番のタネとなる
  • 人は血管とともに老いると言われており、栄養の運搬、免疫性、代謝すべてにかかわるため、血管を大切にすることは健康にとってとても重要
  • 血圧の単位はmmHg、一般に血圧は水銀を12cm、水であれば1.9mをも押し上げる圧力がある
  • 最高血圧は心臓が体に血液を最大まで送り出した時の測定値であり、最低血圧はその逆
  • 食に関しては塩分の制限とカリウムを多く含む野菜、果物の摂取が効果的
  • 適正体重の維持、適切な運動により肥満を予防、改善することが大切
  • 高血圧は原因不明などではない
  • 血圧は食事や睡眠、顔を洗っただけでも大きく変動する
  • 血液と血管の細胞の圧力は主にナトリウムとカリウムの濃度でバランスが保たれている
  • 塩分を過剰に摂取すると血液の濃度を左右するナトリウムが過剰になるため血圧が高まる
  • 塩分の代わりに香辛料を使うとよい、また、加工食品や麺類のスープはできるだけ摂取を控える
  • 過食はインスリンを多く分泌してしまい、悪循環的に肥満を招く上に、過食によって塩分摂取量も増える
  • 高インスリン状態ではナトリウムの再吸収が促され血圧が上がる

あれを取ろうこれを取ろうではなく、自分の生活のどこに問題があり、とのようにアプローチすべきか少し見えてきましたでしょうか。みなさんの健康に少しでも役立てば幸いです。

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