静電気体質は生まれつき?電気をためてしまう原因とは

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静電気体質の原因となる説を検証!

世の中には静電気をためやすい人がいるとかいないとか。

本当にひどい人になると毎度放電して衣服や紙に穴が開いてしまったりする人もいるそうです。そうまでいかずとも、確かにしょっちゅうパチパチ痛がっている人を見かけることはありますね。

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静電気をためやすい人の原因として一般的な論調は衣服の気合わせと乾燥によるもの。

しかしそれだけでそこまで放電に差が出るでしょうか。

そこで静電気体質の人の原因についていろいろと調べてみました。

静電気体質の根拠は不明瞭なようですが、電気について調べるうちにわかってきた、ヒトの体で発生している電気のメカニズムから、これが原因になりうる?を予測してみました。

目次

  1. 酸性体質によって静電気体質になる?
    1-1. 血液が酸性になることはない
  2. 電流が発生するメカニズム
    2-1. 電子の移動
    2-2. 電子の移りやすさ
  3. 人の静電気
    3-1. 酸性、アルカリ性に傾く原因
      …呼吸性要因 肺機能の低下
      …代謝性要因 腎機能の低下
  4. 静電気体質の改善
    4-1. 食生活の改善
    4-2. 呼吸による改善
    4-3. 静電気体質と血圧

酸性体質によって静電気体質になる?

まず静電気体質は酸性体質、ドロドロ血になっていることが原因という説が非常に多く出回っています。これについて、なぜそのような理屈になるのかを調べてみました。

血液が酸性になることはない

血液が酸性になることで静電気体質になる、といった説がありますが、どうやら血液自体は酸性になることは無いようです。

酸性、アルカリ性の基準には0~14の目盛りがふってあり、7を分岐点として0に近い方を酸性、14に近い方をアルカリ性としています。

ヒトの血液のpHは7.35~7.45の間、かなり微弱なアルカリ性です。これは普遍的なことで変わりません。たとえばpHが7を切ったとしたら、様々な臓器に命にかかわるような支障が出ます。

変化するのは糖尿病、または何か重篤な病に侵されているとき、逆に健康な人のpHを乱せば体の各器官に致命的な異常を生じます。

血液のpHが変わらない一方で、尿のpHは酸性になったりアルカリ性になったりします。それは血液のpHを変えないために体がうまく機能し、酸性に傾けばプラス電荷の成分を、アルカリ性に傾けばマイナス電荷の成分を排出するため。

ヒトは単体で見ると中性ですが、肌は弱酸性、pHでいうと4.5~6の間で、血液は弱アルカリ性、その器官によって酸性アルカリ性は異なるのです。

電流が発生するメカニズム

まず、体の中に電気が発生する理由をつきとめるために、そもそも電気とはどのようにして発生しているのかを調べてみました。

この章は化学的な内容となるため、そういった原理的なところまで知りたい方のみ読んでみてください。(難しいので…)読み飛ばしていただいても結構です。

電子の移動

静電気が起こる時、物体が帯電しているためと言われますが、物体が帯電しているとはどのような状態でしょう。それは、電荷がプラスかマイナスのどちらかに偏っている状態のことを言います。

物質にはプラスに帯電しやすいものとマイナスに帯電しやすいものとがあります。

ちょっと難しいお話になりますが、これは物質を構成する原子一つひとつの構造の特徴の違いによるものです。

原子の一つ一つは陽子(+)とその周りを回るいくつかの電子(-)でできており、電子の数は原子の種類によって規定数が異なります。たとえば水素には電子は1つ、酸素は8コと数が決まっています。

この、電子(-)は自由にはずれたり、くっついたりするのですが、電子(-)が外れて既定数より少なくなるとがプラスに帯電している状態、電子(-)が既定数より多くくっついているとマイナスに帯電している状態です。

そしてこの既定数より電子が多かったり少なかったりしている状態を、原子がイオン化していると言い、つまり帯電している状態と言えます。

電子の移りやすさ

電子の規定数は原子の種類によって異なるとお話ししました。

この電子がまわる道筋は、太陽の周りを回る天体のように、1周目、2周目、3周目と軌道が決まっており、1周目には電子は2コまで、2周目は8コまで、3周目は18コまでと持てる電子の最大数が決まっています。

1週目がいっぱいになると2週目、2周目がいっぱいになると3周目と軌道の層は増えていきますが、電子が層の最大数ちょうどになっている状態が最も安定します。

そのため、電子の数の規定数が2コのヘリウム:Heや、規定数が10コのネオン:Ne(1周目が2コ、2周目に8コの電子が配列される)などは非常に安定している原子であり、それ単体で存在することができます。

一方電子の規定数が中途半端な原子たちはというと、なんとかして安定したいがために、何かから電子を奪い取ったり、何かに電子を放出したりして、イオン化しやすい原子なのです。

そういったイオン化しやすい原子たちは、複数でくっついて分子になったり、ほかの物質と結合したりして安定しようとします。

水はH₂Oですね。

H(水素)は電子数が1の原子、O(酸素)は電子数が8(1周目が2コ、2周目に6コ)の原子です。

このOの2周目の電子6に、Hの電子1ずつがくっつくことで、外層の電子数が8コとなり、安定した状態H₂Oになっているのです。

人の静電気

さて、静電気はヒトの中に電気がたまっているわけですが、これはなぜ起こるのでしょう。

酸性とかアルカリ性って言葉がありますが、これは水素イオンH⁺の量のことを言っています。H ⁺が多ければ酸性、少なければアルカリ性です。

これらは電荷を伴いますから、体が酸性、アルカリ性に傾くとき、ヒトは帯電していると言えそうですね。そしてこれが、酸性体質が静電気体質であることのおおかたの根拠になっていると思われます。

酸性、アルカリ性に傾く原因

体のpHを変化させる要因には代謝性のものと呼吸性のものがあります。肩こりや冷え性によって代謝が落ちている場合にもpHが乱れやすい環境と言えます。また、汗をかきづらい人は水蒸気として発散される電荷が少ないため、電気を逃がしにくい体質であるとも言われています。

pHの乱れを調整しているのは肺と腎臓です。肺は呼吸器であるためH⁺とは近い関係にありそうですね。腎臓はpH調節後の排出を司るため、代謝の大きく関わっています。そのため、体のpHを乱しやすい環境というのはこの2つに異常をきたしていることも考えられます。

呼吸性要因 肺機能の低下

呼吸不全によってうまく排気が行われず、二酸化炭素が体内に蓄積すると、血液は酸性に傾きます。(この理由は後述しますね)

激しい呼吸によって二酸化炭素を過剰に排出すると血液は逆にアルカリ性に傾きます。この時、脳は呼吸が足りないと認識し、過呼吸に陥る危険性もあります。

呼吸によってpHバランスが変化するため、それによって帯電が起こっているというわけです。

肺によるpH調整

呼吸のしかたが正しくても肺の代謝レベルに異常があればそれはpH以上の原因となりえます。

呼吸によって酸素を吸入し二酸化炭素を排出するというのはみなさんご存知のことですが、これは単純に酸素が二酸化炭素に変化しているわけではありません。

体内における二酸化炭素の発生は、脂肪や炭水化物をエネルギーに変換するときに発生しているものです。

それを体の各所から集め肺を通して外へと逃がしているのですが、この二酸化炭素、CO₂は血中を通る時はH⁺とHCO₃⁻というイオンの状態で運ばれています。

これが肺で合成され、化学式からもわかるようにH₂O(水)とCO₂(二酸化炭素)として排出されるのです。

肺の代謝が低くなる、つまり二酸化炭素の排出が滞るとH⁺とHCO₃⁻はイオンのまま血中を流れ続けるため、H⁺が残った状態になってしまう、つまり体は酸性に傾く、イオンバランスが乱れてしまうことになります。

代謝性要因 腎機能の低下

今回の代謝性の要因というのは体の内部での栄養素を排出する機能の話になります。

低アルブミン血症、IgG多発性骨髄腫、ブロマイド中毒、高カルシウム血症、高マグネシウム血症、高カリウム血症など(wiki調べ)

慢性的に代謝異常からpHを乱すのはこれらのような病的要因です。

上記の病名からもわかりますが、カルシウムとカリウムは血液のpHに大きく影響を与えています。これらの栄養素が常日頃から不足しているとpHの異常につながることはゼロではありません。また、pHの異常はそのまま血圧の異常にもつながります。

腎臓によるpH調整

血液のpHを一定に保つために体内では様々な代謝が行われています。その結果排出される成分は腎臓に集約され尿として排出されるのですが、H⁺も共に腎臓から排出されます。

そのため、血液と異なり、尿のpHは酸性~アルカリ性と大きく変動します。

腎臓の機能低下はこのH⁺の排出に影響を与えるため、体のイオンバランスを乱す大きな要因となります。

静電気体質の改善

ヒトが帯電する原因は呼吸のしかたや肺機能の乱れ、そして腎機能による代謝が影響しているとお話ししました。

ここからが本題、静電気体質を改善するにはこれらを正常に働かせなければいけません。

食生活の改善

まずは代謝に関係する腎機能から。

腎臓に負担を与える栄養素はタンパク質、塩分、脂質、カリウム、リン、水分などです。ただ、これらは体に必要な栄養素でもあるため、過剰な摂取にのみ注意をすればよいものです。

普通の食生活ではそこまで乱れることはありません。間食や、なにか特殊な環境にあり食生活が偏っている場合は栄養素、食材に注目してみてください。

腎疾患はメタボリックシンドローム、つまり生活習慣病と深く関わりのある症状です。肥満、高血圧、高血糖は静電気体質と直接的ではないにしろ、関係している可能性はおおいに考えられます。

肩こりや冷え性が静電気体質の副産物と言われる記事は多く見かけます。これらはこの腎機能とそのもととなる生活習慣病が本来の原因、

体のむくみなども腎機能の障害によって発生するものです。

そのため、これらの症状は静電気体質から来ているというよりは、腎機能ほか生活習慣病によって起こっており、静電気体質を併発している、という方が正しいでしょう。

呼吸による改善

呼吸は常日頃から意識せずに行っていることですが、その影響は繊細で、実は体のpHにも影響しているのですね。

呼吸に目を向けることは

武道、スポーツでも呼吸は大きく着目されています。しかし日常でも、これに着目することは大きなメリットがあります。

東洋医学では、呼吸も病的症状を示す重要な情報として位置づけられています。みぞおちの下あたりに丹田という場所がありますが、ここに精神を集中させるツボがあると言われています。

呼吸についてはこちらの記事で詳しく書いていますので、静電気体質が気になる方はこちらの記事も目を通してみてください。

また、呼吸は自律神経という精神の安定に深くかかわる神経ともつながっています。

心を落ち着かせることが呼吸をコントロールする重要なメソッドでもありますから、ストレスにも気を配り、心を穏やかにすることは静電気体質の改善にもきっと助力となるはずです。

静電気体質と血圧

ひとの血管の中では赤血球などが絶えず流れ続けているため、中の物質同士、もしくは中の物質と血管がこすれあい摩擦によって電気が発生すると考えられています。

高血圧の人は摩擦が起きる強度が強く、そのぶん静電気体質になりやすいのでは?という説があります。

心当たりのある方はこちらの記事にも目を通してみてください。

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