強迫症の改善は病院に行くしかない?薬の前に、生活の中でできる訓練法

Obsessive compulsive disorder

突然襲ってくる不安、強迫症を知る

強迫症はまだまだ認知度が低く、知らない人から見ればかなり特異な行動、または「その人は心が弱いだけだ」と思ってしまうことさえあります。そして、自分もそう思っていた1人でした。

Obsessive compulsive disorder

何度も鍵がかかっているか、火の元をちゃんと消しているかを確認しに行ったり、ふとした時に死を実感し、過呼吸に陥ったり、

ただ、これは一般に知っておいてほしい症状なのです。実際に存在します。そして、この症状と、そのとき発症者がどのくらい苦しんでいるか、ほとんど知られていない症状です。

精神障害は「理解されないこと」がそれを打ち明けられない壁になります。一人から抜け出せない、回復を遅らせる大きな要因になるのです。

そして精神障害は長引けば長引くほどより抜け出せなくなっていきます。そして、別の精神障害や、自律神経失調症という身体にも影響を与える症状を併発したりします。

今回は強迫症について知ることで、そういったリスクを少しでも減らし、みなさんと共有できればと思います。

目次

  1. 強迫症とは
    1-1. パニック障害との違い
  2. 強迫症に関連する事例
    2-1. 高所・閉所・先端恐怖症 潔癖症
    2-2. ゴミ屋敷と強迫症
  3. 強迫症は精神的な病
  4. 強迫症の改善・訓練について考える
    4-1. 安心できる実感、経験が強迫症を遠ざける
    4-2. 自己暗示
    4-3. チェックリストを使う
    4-4. 症状が重い場合は医者へかかる
  5. まとめ

強迫症とは

強迫症の正式名称は強迫性障害と言います。

昨今特に耳にする機会が増えた症状です。

鍵をかけたはずなのになぜか不安になってしまい、何十回と確認しに家に戻ったり、電車や人ごみにいるとこのまま窒息して死んでしまうのではないかという疑念に囚われたりします。

生活の中で、ある不安が突然襲ってきたり、どうやってもその不安をぬぐえないといった場合、強迫性障害が疑われます。

人口の2パーセントほどが強迫性障害にかかるといわれており、半数が20歳以下で発症し、35歳以上での発症はまれで、男女の隔たり無く起こる症状です。

これは心のトラウマが原因になっているケースもありますが、仕事や社会において何かを継続的に我慢することが問題となるケースも多いように感じます。

パニック障害との違い

パニック障害は極度の緊張を生じますが、これは体が大衆の目などその時の状況に過敏に反応し、興奮状態に移行するスピードが早い、もしくはその度合いが強いといった自律神経のホルモン異常、つまり生体的、生理的なものが主な原因とされています。

一方の強迫性障害は思い込みや精神的な負担が主な原因となります。そのため強迫性障害は薬剤治療よりは心理療法を用いて改善を見込むケースが多いようです。

強迫症に関連する事例

強迫症は意外と身近にひそむ症状です。一風変わった行動にはわけがあり、何かに執着する事例の場合、強迫症が根を張っているケースは少なくありません。

高所・閉所・先端恐怖症 潔癖症

一般的な恐怖症の数々です。高所で、実際には策があっても近づくと吸い込まれて落ちてしまうのではないか問う恐怖心。

閉所に入ると天井が迫ってい来るように感じたり、ドアが閉まって一生出れなくなるかもしれないという恐怖心。

尖ったものを見ると自分の目に飛んでくるのでは?もしくは、飛んできた!と思ってしまう。

潔癖症の正式名称は不潔恐怖症といい、あらゆる場所に強い細菌やウィルスが存在し、感染してしまうのではないかと、日常的な生活の中でも掃除や手洗いを恐ろしいぐらいに繰り返してしまう。

自分の身近な人のあいだでも何人かいますが、何事も考えすぎる性格だったり、表に見せている自分と本来の自分にかい離を感じ、それに苦しみを覚えている人に多く発症しているように感じます。

ゴミ屋敷と強迫症

近年たびたび問題として取り上げられているゴミ屋敷、実はこれも強迫性の精神障害の可能性が疑われています。

いつか必要になるモノを捨ててしまうという強迫観念、それがこの負の環境を生み出す根本にある闇です。

そしてそれを繰り返すうちにいつしかそれ自体を本当に必要なものとして認識されてしまう…というのが精神的に見たゴミ屋敷の生まれる真相です。

単に収集癖があるだけ、という場合もありますが、強迫性障害との違いは精神的な苦痛を伴うか否かです。

上記の収集に「自分に必要なものだから集めなければ致命的な問題が起こる」と苦痛を感じる場合、強迫性障害である可能性が高まります。

すると、捨てること自体が苦痛となり、一般的にゴミと認知されるもの、また、本来は自分に必要がないものでも収集が収まらなくなり、ゴミ屋敷に変貌してしまうのです。

コレクション癖に関してはあくまで自分の欲によるものなので、自分にとって価値のあるものなのかを考えたり、この値段で本当にこれを今買う必要があるのか、何かと天秤にかける「余地」があります。

強迫症は精神的な病

強迫性障害は病理は詳しく規定されていません。有力な説としては神経伝達についての障害と言われています。

陽の光を浴びるとセロトニンという物質が生成され、脳のコントロールを正常化する役割をはたします。

これは夜になるとメラトニンという物質に変化して、脳をリラックスさせ、良好な睡眠を促すうえで重要な役割をはたしているとわれていますが、こういった向精神的ホルモンの異常ではないかと言われています。

はじめはこれについて、であれば夜型の生活を送っている人ほど強迫性障害の可能性が高まるモノかと考えました。

それは、セロトニンは日中に生産されるホルモンであり、メラトニンもセロトニンが無くては十分に生産されません。そのため、夜型の生活ではこれらの物質は良好に生産されず、不眠の要因の一つとなっている説があるからです。

しかし、昼職をメインに生活している人にも発症は多くあり、やはりホルモン分泌といった生体的、生理的な要因よりも、ものごとに対する考え方や思想、生き方の方が発症に大きく起因しているように感じます。

強迫症の改善・訓練について考える

強迫性障害は思考的、精神的なものであるため、その心の衝動を動かし続けるカギを外してやる必要があります。

そのため、現状維持で回復を見込むことは難しく、何かしらの精神的アプローチを必要とします。

パニック障害は、環境から受ける自律神経の挙動の異常であるため、一人で問題と対峙する環境を避けることで症状が改善される場合もありますが、強迫性障害は集団の中にいても起こります。

安心できる実感、経験が強迫症を遠ざける

恐怖心にかられるモノに直面したり、それが不足しても、実際に大丈夫だった、と経験として実感することが大切です。

そのため、たとえば3回より高い建物に上るのが怖ければ、実際にそこから落ちてしまってもけがをすることのない2階に住んでみる。「2階で落ちてもケガしないけど、そもそも1年間生活して、2階から落ちることなんて1度もなかったなぁ」と、経験を通して実感すること。そしてその経験を糧に、根拠にして、次のステップに進むことです。

そうやって強迫症のラインを一歩ずつ、少しずつ遠ざけていくのです。

ただ、それでいうとその段階で逆に危険な体験をしてしまえばふっとしたきっかけでも再発することがあるわけで、その回復の度合いは慎重に判断する必要がありそうです。

自己暗示

友達となら仲良くできるのに、好きになった人と一緒にいると途端にうまくしゃべれなくなるというのはよくある話です。

そんなとき、自分とその人とは友達だといい聞かせ、友人と話しているんだと自己暗示をかけることで軽くする、なんてことを実践した人も多いのではないでしょうか。

このように、自己暗示というものは意外と侮れないもので、こと精神病に関しても使われたりしています。

自律訓練法というものですが、ストレス緩和、精神症緩和に用いられる技法です。

まず体全体をリラックスさせ、自身の体に暗示をかけます。その流れは次の通りです。

体が重い
→体が温かい
→心臓が穏やかに脈打っている
→呼吸が楽になっている
→お腹が温かい
→ひたいが涼しい

このように、体が重たい状態からリラックスできる状態へと移行していきます。「体が温かくなる」とこれからなるように祈るのではなく、すでに温かいんだと暗示をかけます。

そもそもリラックスできん…と悩む方はこちらの記事が参考になればと思います。

このように医療の分野でも自己暗示は取り入れられます。強迫性障害の場合も、その原因のもととなるモノに自分が対処したんだということをしっかりと鮮明に記憶し、そして、自分の心で唱えることで、精神的な不安を取り除くのです。

ちなみに上記の自律訓練法の6つの過程の1節に、強迫性障害に対抗する暗示を唱える方法も、実践されている方がいるようですね。

チェックリストを使う

また、チェックリストを利用するのも1つの手です。玄関にメモ帳を置いて、火の元を確認したら「火の元ok」と記す。

カギをかけたなら鍵okと記す。日ごとにリセットされるチェックリストアプリやカレンダーアプリでも代用できるでしょう。

そして、不安になった時にはそのメモを見て、チェックしたことを思い出す。そして、それを【信じること】。ここで家に戻って改善はありません。

だって、今まであなたは、自分の記憶を改ざんしてメモを取っていたことがありますか?カギをかけ忘れたりするのとはわけが違います。

このようにして強迫観念を少しずつ遠ざけていくのです。

チェックに慣れてきたら、今度は自分の記憶を信じましょう。火を消したこと、その時の情景を出る前に覚えておく。そして、少し不安に思ったら今度はその情景を思い出す。

そうやって少しずつ少しずつ、良くなっていけばいいのです。

症状が重い場合は医者へかかる

上記を試して、自身で回復が難しければ医者へかかりましょう。精神科、もしくは心療内科です。しかし、重度の症状であるか、よほど信頼できるお医者さんでない限り、薬はお勧めしません。

強迫症で処方されるのは抗うつ薬です。セロトニン関係のお薬なのです。そしてこれを強迫症に使用することは回復の根拠に乏しいからです。理論に薄いのです。副作用も認められます。

強迫症は、生理的、生体的不調を根拠とするパニック障害と違い、思考的、精神的問題です。そのため、薬のみで回復することは非常に考えずらいと言えます。また、逆に言えば薬に依存してしまうリスクも大きいのです。

これだけは覚えておいてください。もし薬を服用するとしても、心理療法ありきです。心理療法を行えないほど重度の症状である場合にはじめて薬を必要とします。そして、薬を使う場合は期限を決めることです。

心理療法の説明なしに薬の服用を勧めてくるようであれば断った方が賢明です。

まとめ

強迫性障害は他者から見るとにはかには信じがたい行動と思われてしまいがちです。そのうえ、え、この人が!?と思うような人がなったりします。自分もまさか精神的な病気になんてかかるはずもないと思っていた普段から極端に明るく振舞っていた仲間が同じ病気にかかって初めて、この病気が真実なんだと実感した一人です。

優しくて明るくていい人ほど、実は心にもっと違う何かを感じていたんだと、普段話している言葉は本当にその人が話したかった言葉じゃなかったのかもしれないと、それに気づくことはできなかったのかと考えました。

自分の無知さを痛感しました。それでいて自分は何もできないというのもよくわかるのです。ただ、依然と違うのはこういった病気が存在することを知っているか知らないでいるか。

今回この記事の中で改めて概要を整理したことで、何もできないまでも、共感したり、寄り添うことができるようになれればなぁ、と、記事を書きながら、その人の今を考えながら回想しました。

こういった認知の少ない精神障害についてももっと一般に知られ、これから知り合う人の、すでに身近にいる人の心の痛みを感じる、考える、何かの機会になれば幸いです。

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